「ふてこい」という言葉の意味を知っていますか?
最近SNSで「ふてこい」という言葉を使った投稿が話題になっています。
投稿の画像を見るとなんとなくイメージは湧きそうですが、詳しい意味を知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では「ふてこい」の意味や、語源、どこの方言なのかを徹底解説!
さまざまな場面での「ふてこい」を使った例文もお伝えします。
今まで知らなかった「ふてこい」の理解を深めて、「ふてこい」を使いこなせるようになりましょう!
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目次
1.ふてこいの意味とは?
「ふてこい」は標準語で言うと「ふてぶてしい」という言葉と同じだと言われています。
主に「感じが悪い態度」のことを表し、その様子はさまざまです。
- 愛想が悪い
- 可愛らしくない
- やる気がない
- ブスっとして不機嫌な様子
- 気に食わない態度
これらの全ての人の表面に出てくる様子のことを「ふてこい」と表現します。
また、態度を断定するのではなく、「~のような感じ」「~っぽい」など、そういった傾向が強いというニュアンスで使われることが多いです。
標準語では「ふてぶてしい」を表す言葉ですが、意味がピッタリ一致するわけではありません。
「ふてぶてしい」を辞書で引いてみると「平然と図太く構えていること。憎らしいほど図々しいこと」と書いてあります。
一方「ふてこい」は「感じが悪い態度」を意味して使われますね。
「ふてぶてしい」は落ち着き払っている様子ですが、「ふてこい」は不機嫌な様子が態度に表れているという点で、若干意味が違うのです。
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2.ふてこいはどこの方言?
「ふてこい」という言葉が使われているのは、関西弁を話す地域である関西地方です。
主に大阪で使われることが多く、同じ関西でも奈良や和歌山では意味が通じないこともあります。
関西では「~こい」の付く言葉を良く使います。
- 冷やこい(冷たい)
- なれこい(なれなれしい)
- ややこい(ややこしい)
- めんこい(可愛い)
- やにこい(弱弱しい)
これらはすべて形容詞ですね。
このことから、「ふてこい」は「ふてぶてしい」の「ふて」に、「こい」という関西で使われる形容詞の語尾を付けて使われる言葉であることが分かります。
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3.ふてこいの語源
「ふてこい」の語源には「太い」と「不貞」の2つの説があります。
標準語で「ふてこい」と同じとされる「ふてぶてしい」は、漢字で「太々しい」と書きます。
そのため、「ふてこい」も同じく「太い」という言葉からきているというのが、1つ目の説です。
「太い」には「幅が大きい」という以外に「大胆、肝が据わっている」「ずうずうしい」などの意味があります。
「神経が図太い」という言い方は聞いたことがあるかもしれませんね。
この「太々しい」が変化して「ふてぶてしい」から「ふてこい」になったと言われています。
また、「ふてこい」の「ふて」は「不貞」や「不定」を意味するという説もあります。
「不貞」とは、主に夫婦間での約束事を破ることを表します。
「不定」は、定まらないことや、確かでないこと、になりますね。
こういった困った出来事への感情が表に出るという意味で「不満げな態度」「愛想がない態度」に「ふてこい」が使われるようになったのが、2つ目の説です。
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4.ふてこいとしらこいの違い
「ふてこい」と同時に関西でよく使われるのが「しらこい」です。
言葉の意味の違いについて良く話題になる2つの言葉について、詳しく見てみましょう。
「ふてこい」が「感じが悪い態度」であるのに対して「しらこい」は「しらじらしい、計算高い」という意味です。
「しらじらしい」とは、自分の都合が悪い時や嘘をついている時に知らないふりをする態度のこと。
この態度が「ふてこい」の「図々しく感じが悪い態度」と似ていて使い方に悩む方が多いようです。
使い方の違いの大きな特徴は「先に悪いことをしているか」「嘘をついているか」という点です。
「しらこい」は自分が何か悪いことをしているのに「悪いことしてないですよ~」という顔ををしているイメージです。
「ふてこい」は直前に悪いことをしたり、嘘をついたりという事実のあるなしに関係なく「感じが悪い態度」ということになります。
嘘が先にあるかないかを見極めると、使い分けられるようになりそうですね。
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5.ふてこいの類義語表現
「ふてこい」と同じ意味の言葉を集めてみました。
- 図々しい(人に迷惑をかけても気にならない・図太い・あつかましい)
- 自信過剰(自信を持ちすぎている・自分を過信している)
- 表情が乏しい(顔に感情が出ない)
- 生意気(年齢や能力に見合わない出過ぎた行動をする)
- 不愛想(そっけない)
- 偉そう(必要以上に威張っている)
類義語ではありますが、実は「ふてこい」はこれらの全ての感情・表情を含んでいます。
「感じが悪い態度」のことを言うため、さまざまな場面で、さまざまな人に対して使えます。
また、人間だけでなく、動物に対しても使える、用途の多い言葉なのです。
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6.ふてこい猫ってどんな猫?
SNSで話題になっているのが「ふてこい」動物の写真を載せた投稿です。
「ふてこい猫」と検索入力すると「ふてこい顔」をした猫の画像がたくさん表示されます。
猫だけに限らず、動物の「不愛想な顔」「機嫌が悪くブスっとした顔」を載せて「ふてこいな~」「ふてこい顔してるよ」とコメントしている画像が多いですね。
「ブスっとした顔」が可愛らしくツボに入ると言われ、イラストやグッズにもなっている人気ぶりです。
その先駆けは、2014年からYモバイル「ふてニャン」のCMに出演していた春馬くんだと言われています。
感じの悪そうな興味のなさそうな顔ということで、「ふてぶてしい猫」としてCMに起用されたことで、一躍人気者になりました。
グッズも発売され、イベントにも出演しており、2015年には写真集まで発売されています。
世の中に可愛らしい猫の映像が溢れる中、「あえてふてぶてしい」というところに人気の秘密があるようです。
現在も「ふてこい猫」は「ふてぶてしいけど愛らしい顔をしている猫」として、人々に愛されています。
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7.ふてこいの使い方と例文
「ふてこい」は良い意味でも悪い意味でも使われます。
「アホ」や「いけず」にも言えることですが、否定的な意味の言葉に愛情が込められているところが関西弁の特徴です。
「ふてこい猫」の「可愛くないところが逆に可愛い」「ふてぶてしくて愛らしい」ことからも、お分かりいただけるかと思います。
では、良し悪しどちらの意味でも使える「ふてこい」の例文を見てみましょう。
7−1.ふてこい使い方と例文①
「ふてこい」態度は時に周りの人に嫌がられます。
「隣の席の子が朝からずっとふてこい顔しとって、こっちまで嫌な気分になるで。」
(隣の席の子が朝からずっと機嫌が悪い顔していて、こっちまで嫌な気分になるよ。)
7−2.ふてこい使い方と例文②
上から目線の態度で接せられるのは、誰でも気分が良くないものですよね。
「あの上司はいつも自分が一番やと思うとってふてこくて苦手やで。」
(あの上司はいつも自分が一番だと思っていて偉そうで苦手だよ。)
7−3.ふてこい使い方と例文③
笑顔で挨拶をする子は、どの世代の方にも好かれます。
「あそこの子はすれ違うても挨拶もせえへん、ふてこい子やわ。」
(あそこの子はすれ違っても挨拶もしない、愛想のない子だわ。)
7−4.ふてこい使い方と例文④
可愛い子はどんな顔をしても可愛いです。
「あの子はふてこい顔しとってもかわええ。」
(あの子は機嫌の悪い顔をしていてもかわいい。)
7−5.ふてこい使い方と例文⑤
愛情を込めた可愛らしい「ふてこい」です。
「そんなブスっとした顔をしてると、嫌われてまうぞ!」
(そんなブスっとした顔をしてると、嫌われちゃうぞ!)
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8.ふてこいの意味まとめ
「ふてこい」は「感じが悪い」という意味ではありますが、一言では表現しきれない「感じの悪さ」が含まれているところが、とても興味深い言葉です。
「ふてこい」動物たちの画像に「ふてこい」のさまざまな意味を当てはめてみると、より投稿を楽しめそうですね。
良い意味にも悪い意味にも使える「ふてこい」を、ぜひ普段の会話やSNSにも取り入れてみてください。
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